2015年8月26日

「T-グリッドシステム」について

 家庭用燃料電池エネファーム(以下、エネファーム)は家庭内の電気の使用量に応じ、発電出力を制御します。ただし、エネファームの最大発電出力は750W※1であるため、家庭内の電気使用量がそれを超える場合、不足する電力は外部から購入する必要があります。「T-グリッド※2システム」(以下、本システム)は、このように電気が不足する家庭に対し、発電余力のある他の家庭のエネファームから電気を融通します。
 具体的には従来通りのエネファームの制御に加え、マンション全体の電気の購入量を計測し、発電余力のあるエネファームの出力を上げることによって、マンション全体で不足する電気量を賄うことができます。
 本システムは、外部からの電力購入量(系統依存度)を大きく低減する事によりエネルギーの地域生産地域消費に貢献し、更なる省エネルギーとCO2削減に貢献します。また、居住者の節電意識の向上、マンション内のコミュニティ形成にも繋がります。

*1.平成26年度住宅・建築物省CO2先導事業申請時、省エネシミュレーションに用いたエネファーム機器仕様に基づく
*2.T-グリッド=Town(街)、Team(協力)、Trust(信頼)、Trade(取引)の頭文字。街区内(Town)に構築する電力網(グリッド)であり、住民の協力(Team)と信頼関係(Trust)のもと、住戸間電力融通による電力取引(Trade)を可能にする

■マンション内住戸間電力融通の一例

  • 【Aさん宅】
    夫婦2人と子供3人の5人家族。子育て世帯で電気の使用量は比較的多い。
    朝と晩の二度にわたり、家庭内の電気使用量がエネファームの最大発電出力を超過しており、従来のシステムでは、この時間帯は電力会社から電気を購入する必要があった。
  • 【Bさん宅】
    2人暮らしの夫婦で、一日を通して電気の使用量は比較的少ない。
    一日を通してエネファームの発電に余力があることから、本システムを構築し、Bさん宅のエネファームの発電出力を増加させることで、Aさん宅に電力融通が可能となる。

計画イメージ図

本システムの導入効果について

本システムは、一般的なマンション設備に比べ、以下のような効果が期待できます。

①一次エネルギー削減率:約25% (建築物におけるエネルギー消費量ベース)

②CO2削減率:約30%(建築物におけるエネルギー消費量ベース)

③外部からの電力購入量(系統依存度)の低減率:約60%

④エネルギーコスト削減率 :約30%(電力融通の売買取引によるコスト削減効果は除く)

⑤居住者の節電意識の向上とコミュニティの形成にも繋がる。